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視力低下の防衛ラインは0.7
目にとっては最悪ともいえる現代の社会環境の中で、最低でも0.7の視力を維持するためにはどうしたらいいのでしょうか。それは、パソコン・スマホなどの情報機器と上手に付き合い、視力を低下させない習慣を身につけることです。1日の流れに沿って、すぐできる9つの習慣を紹介します。
パソコン・スマホが普及し、高度な情報社会と呼ばれる現代では、仕事やプライベートを問わず液晶画面ばかりを見る生活をしています。そのため、子どもから大人まで、視力低下は社会問題となっています。
では、なぜ液晶画面ばかりを見る生活が、視力低下の理由になるのでしょうか。
人間は、環境に適応する能力があります。
人間の視力は、生後1カ月ぐらいまで0.01~0.02、1歳児で視力0.3、2歳児で0.5~0.6、3歳児で0.8、6歳以降で1.0というように発達しますが、近くばかりを見る生活が続くと、その環境に適応し、視力が低下。つまり、遠くを見る必要がないため、近視化が進んでしまうのです。
例えば、1日中、パソコンに向かっているオフィスワークが中心の方であれば、0.4~0.5の視力でも十分生活ができます。1.5とか1.0といった視力は必要がないし、逆に遠くまで良く見える1.5の視力で、近くのパソコン画面を見続けると、目に負担がかかり疲れやすいのです。近視の人の方が、パソコン画面など近くのものを見る場合、目への負担が軽いのです。
環境に適応して、視力が低下するのは分かった。しかし、「0.4~0.5で視力低下がストップせず、さらに目が悪くなるのはどうしてなの? メガネを掛けないと生活できないレベルまで視力低下が進むのは、変でしょう」という声が上がりそうです。
目の構造に関係があります。人間の目は、原始時代のなごりなのか、遠くを見るときに目に負担がかからないようにできているのです。
人間の目はよくカメラにたとえられますが、レンズにあたる水晶体の厚みを調節して、ものを認識しています。水晶体のまわりを囲む「毛様体」という筋肉が、伸びたり(緊張)縮んだり(弛緩)することで、水晶体の厚みを変え、ピントを調節しています。
その毛様体は、遠くを見るとき緊張がとけ、目に負担がかかりません。逆に、近くを見ることは毛様体を緊張させ、負担が大きくなり目が疲れるのです。そういうふうに目はつくられているのです。
パソコン画面など近くのものを見る時間が、長くなれば長くなるほど、目は緊張が続き、毛様体がコリ固まって、本来の柔軟さを失ってしまうのです。
毛様体だけではありません。パソコンの画面ばかりを見つめていると、明るさも変わりませんし、距離感も変わりません、目を随時動かす必要もありませんから、それによってどんどん目の周辺の筋肉もコリ固まって柔軟さを失ってしまうのです。
ちょっと試してください。体や頭を動かさないで正面の目標、例えば壁にかかった時計を見ます。その時計を見つめたままで、そのまわりあるものが何か、そのものの色や形がどうなっているか確認してみましょう。すると、時計の針の形、文字盤などの数字ははっきり分かるのに、時計の外側にあるものは、外側にいくほどはっきりとはわからなくなるはずです。
このようなことが起こるのは、カメラでいうフィルムの役割をする網膜の中心部にある直径わずか約1.5ミリの「黄斑(おうはん)」という部分に関係があります。黄斑には、網膜の中でも物を見分ける細胞がたくさん集まっていて、いつでも目標を網膜の中心にある黄斑でとらえないと、目標物がハッキリ見えないようになっています。
眼球をくるくる動かすのは、しっかりと像を黄斑でとらえるために必要な動作です。もし、眼球が動かなかったら、像を黄斑でしっかり捉えるために、頭や体を小きざみに素早く動かさなければなりません。眼球を動かす筋肉が「外眼筋」で、眼球を動かすことは、「見る」ためにはとても重要な働きをしているです。
また、光の量の調節する筋肉が「虹彩筋」です。
パソコン画面など近くのものを見ることを続けると、環境に適応することを超えたかたちで、毛様体、外眼筋、虹彩筋がスムーズに働かなくなり、衰えて、眼球自体も変形したりして、強度近視になるのです。
そこで本題です。適正な視力は、あるのでしょうか? それは、人それぞれ。その人が日常生活の中で不便を感じない視力が適正視力といえるのではないでしょうか。視力が悪いと就けない職業や取れない資格がますし、スポーツでは不利に働くことも。
ほとんどのスポーツ競技には視力の条件はありませんが、ある実験で、選手の視力を下げてみると、0.7を境にスポーツパフォーマンスが著しく低下したそうです。安全・正確にスポーツを行う場合は、理想の視力は両眼で1.2~1.5、少なくとも0.7以上必要だといえるそうです。
職業で見るとスポーツ同様、視力の条件がないものが多いのですが、エアラインパイロット(ANA)は、各眼の矯正視力が1.0以上であること、警察官だと裸眼視力が両眼とも0.6以上であること、宇宙飛行士は両眼とも矯正視力1.0以上と、視力が悪いとつけない仕事もあります。
一般的に考えると、自動車の免許で「眼鏡等」の条件がなく資格を取得するためには「視力が両眼で0.7以上」となっており、最低でも0.7の視力は維持したいものです。視力低下の防衛ラインは、0.7といってもいいのかも知れません。
では、目にとっては最悪ともいえる現代の社会環境の中で、最低でも0.7の視力を維持するためにはどうしたらいいのでしょうか。パソコン・スマホなどの情報機器と上手に付き合い、視力を低下させない習慣を身につけることです。
1日の流れに沿って、すぐできる9つの習慣を紹介します。
パソコン画面までの距離は50cm離して、連続使用は50分までというのが理想ですが、オススメしたい超簡単な方法があります。アメリカなど英語圏を中心に浸透している「20-20-20のルール」です。
パソコンの画面を20分見たら、20秒間20フィート(6メートル)以上離れたものを見て休憩する、というもの。20秒の休憩中に室内を見渡したり、窓の外を見ましょう。近くを見続けることで緊張した毛様体筋をほぐすことができます。
「 20-20-20 ルール」の詳細はこちらをクリック
パソコン使用中は、まばたきが極端に減っています。意識的にまばたきを。
まばたきの大切さ、“涙”の大切さを詳しく知りたい方はこちらをクリック〉〉
スマホや本など集中して見た後に視線を上げた時、目の焦点が合わなくなるピントフリーズ現象。目の毛様体筋がこわばり、ピントを合わせるのに時間がかかる症状です。こんなときは、遠近を交互に見る毛様体のストレッチこまめにすることで防げます。
やり方は、
①5~6メートル先の目標物を15秒間見つめます。漫然と見るのではなく、観察するように見ることが大切です。
②次に30センチくらい近くのものを5秒間見つめます。
1と2を交互に繰り返します。5分~15分を目安にして下さい。
また、「遠くの山やビル、家並みなど」1キロ以上遠方の場所を、5分以上ぼんやりと見る、というやり方も有効です。目の毛様体筋の緊張がほぐれ、目がラクになってきます。
夜のスマホの光は深い眠りを妨げ、目に疲れが残る原因になります。必要最低限にして、翌日に。
夜遅くまで強い光の下にいると、メラトニンの分泌が低下し、睡眠障害を起こしやすくなります。夜遅くなったら、間接照明やスタンド照明に切り替え、支障のない程度の明るさにして、睡眠の体勢を整えましょう。また、パソコンやテレビ、スマホなどのモニター画面も強い光源なので、寝る1時間前は使わないようにしょう。
こうした習慣を身につけ、目をいたわること。これが、最低でも0.7の視力を維持することにつながります。
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