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太陽の光「紫外線」からお肌や目を守る!
海、プール、BBQ、登山など、家族一緒にアクティブに過ごしたい夏。同時に脅威となるのが降り注ぐ太陽の光、紫外線です。
紫外線は肌老化の原因になり、シミ、シワ、たるみなどあらゆる肌トラブルを引き起こします。また、目にとっても紫外線は、長年にわたって浴び続けていると、翼状片(よくじょうへん)、白内障を引き起こすといわれています。
それだけに、「太陽光=敵」と思っている方も多いかもしれませんが、実は、太陽の光を浴びることは、私たち人間にとって非常に大切なことなのです。そこで今回は、紫外線対策・UVケアについて詳しく紹介します。
太陽光は、可視光(かしこう)、赤外光、紫外光(しがいこう)の3種類があります。可視光は目に見える光の名称です。目に見えない光が赤外光と紫外光です。
分野によって可視光だけを光と定義する場合には、赤外光ではなくて赤外線、紫外光ではなくて紫外線になりますが、意味は同じです。可視光は、人間を含む動物に視覚を与え、植物の光合成を行なっています。赤外光は、私たちの目には見えませんが熱として感じられる光。日向ぼっこをすると体が温まるのは赤外光によるものです。紫外光は、赤外光と同じで目に見えません。最近は、有害作用ばかりが話題になりますが、殺菌作用など地球の生態系の維持に不可欠な作用を持っています。
太陽光は、無色ですが、その光をプリズムに通すと、赤、橙(だいだい)、黄、緑、青、藍(あい)、紫の7色の目に見える色光の帯が現れます。この色は光の波長の違いによって生じ、これをスペクトルと呼んでいます。
紫外光、赤外光は、文字通り可視光の波長範囲の外側の波長をもつ光です。波長の短い紫の光よりもさらに短い波長を持つ光が紫外光(紫外線)ですし、赤い光よりも長い波長をもつ光が赤外光(赤外線)です。紫外線の場合、400 nmよりも短波長の光になりますが、短い方は100 nm程度までを紫外線と呼びます。波長によって長い方からUV-A(400~315nm)、UV-B(315~280nm)、UV-C(280~100nm)に分けられます。
UV-Aは、太陽から直接地上に届き、UV-Bは一部がオゾン層に吸収されて届き、UV-Cはオゾン層に完全に吸収されるため地上には届きません。
*nm:ナノメートル=10億分の1メートル
紫外線は、人体によい働きと悪い働きをします。
まず、人体にとってよい働きは、UV-B(315~280nm)によるビタミンDの皮膚での生成です。ビタミンDは食物からカルシウムとリンの吸収を促進し、骨や歯の形成と成長を助けるのです。
最近では、免疫力アップ効果やガン、糖尿病、自閉症、妊娠しやすい体作りなどに有効かもしれないという報告もされています。ビタミン類は身体の中で作り出すことができない栄養素です。人がビタミンDを得るには2つの方法があります。
食べ物から摂る方法と、太陽の紫外線を浴びることで皮膚の中で生成する方法です。
食べ物では、魚やキノコなどの食物に比較的多く含まれています。日本では、かつてはビタミンDが豊富な魚介類の摂取や、積極的な日光浴により、ビタミンDは比較的充足していたと考えられます。それが最近では、乳幼児・妊婦・若い女性・寝たきり高齢者などを中心にビタミンD不足が指摘されてきています。また、UV-Bは服やガラスを通れません。そのため、いつも屋内で過ごしたり、外出するときに必ず日焼け止めを塗る人は、いつもビタミンD不足になっているおそれがあるのです。
では、身体に必要なビタミンDをつくるのに、どれほどの太陽の光、UV-Bを浴びればよいのでしょう。
国立環境研究所と東京家政大学の研究チームは、健康な生活を送るのに必要不可欠な成人の1日のビタミンD摂取量の指標とされる、5.5 μgすべてを体内で生成するとした場合に必要な日光浴の時間を、日本の3地点である札幌、つくば、那覇について、季節や時刻を考慮した数値計算を用いて求めました。両手・顔を晴天日の太陽光に露出したと仮定した場合
7月の晴天日の12時には、札幌・つくば・那覇ではそれぞれ、4.6分・3.5分・2.9分で必要量のビタミンD生成を行うことができるとしています。
いっぽう、12月の晴天日の12時では、那覇では7.5分、つくばでは22.4分で生成するのに対し、太陽高度の低い札幌では、必要量のビタミンD生成に76.4分という長い時間が必要となることが判明しています。
曇りや雨の日では、必要なビタミンD生成のためには、さらに長時間の日光浴が必要となるそうです。
なお、食物からの摂取や日光浴等が難しい場合には、ビタミンDのサプリメントを利用することも一つの方法です。
詳しくは国立環境研究所のサイトでhttps://www.nies.go.jp/whatsnew/2013/20130830/20130830.html
紫外線の人体への悪い影響としては、UV-BによるDNA損傷が引き金となる日焼け、皮膚がん、白内障がよく知られています。また、UV-Aによる光線過敏症も増加傾向にあります。
紫外線の厄介な点は、ほんとうの怖さが何十年もたってから現れることです。紫外線を長年浴び続けるとシミ・シワ・たるみなど、光老化(ひかりろうか)と呼ばれる変化が現れるのです。皮膚ガンもそうですが、高齢の方の顔にできるシミや深いシワ、茶色いイボも単に年をとったからできるのではなく、長年日光にさらされたために起こってくるのです。
実際、高齢の方でも、紫外線のあたらない衣服で隠れた部分の皮膚はそれほど痛んではいません。紫外線に長年さらされた皮膚は、ボール紙のようです。紫外線のために皮膚の弾力を保っている線維(せんい)がズタズタに切れてしまい、柔らかさやハリがなくなります。皮膚は自分を守るために厚くゴワゴワになり、色も黄色っぽくなります。無理矢理曲げれば、折れ曲がり、深くシワを刻むことになります。
いっぽう、紫外線のあたらなかった皮膚は、例えるとティッシュペーパーのようで、厚さは薄くなりますが、色は白くシワも細かいものだけです。柔さかも保たれています。紫外線に当たることによって起こる皮膚の光老化は、年齢とともに皮膚の生理機能が損なわれていく自然老化とはまったく違ったものです。それだけに、紫外線よる光老化は、その影響を避けることで、皮膚をキレイに保つことができるのです。
スキーや雪山で強い紫外線を浴びると、雪眼(ゆきめ)と呼ばれる紫外線角膜炎(しがいせんかくまくえん)・結膜炎を起こします。雪面にに限らず、砂浜、水面、コンクリート面など紫外線の反射が強いところでも起こります。症状は、紫外線を浴びて数時間以上たってから、眼痛、流涙(りゅうるい)、結膜充血(けつまくじゅうけつ)、眼の異物感、まぶしさなどをきたします。皮膚の日焼けと同じで1~2日で自然と治ることが多いそうです。
紫外線の強い地域で長年にわたって紫外線を浴びつづけていると、目にも慢性障害が起こってきます。老人の目によく見られる翼状片(よくじょうへん)、角膜病変、白内障などの発生に、紫外線が関わっていると考えられているのです。
目に入ってくる紫外線については、UV-B(波長315~280nm)のほとんどは角膜で吸収され、わずかに通過するUV-Bも水晶体で吸収されます。UV-A(400~315nm)は、半分以上は角膜で、残り半分近くは水晶体で吸収され、残った1~2%のものも硝子体で吸収され、網膜には達しません。
見た映像を映し出すめの「網膜」は、紫外線によつてダメージを受けると失明する恐れがあります。この大切な網膜を守るために「盾」の役割をしているのが、角膜や水晶体なのです。エネルギーの強い紫外線を水晶体で吸収することで網膜までに届く量を減らし、光のダメージから目を守ってくれます。当然、加齢とともに光によって傷ついてゆく水晶体を保護しなければ、白内障などのリスクはどんどん高まってゆきます。だからこそ、高齢になるほど、紫外線対策が大切になるというわけです。
皮膚には紫外線から身を守る仕組みが備わっています。最も強力な光線防御は色素細胞が作るメラニン色素です。メラニンは紫外線、可視光線、赤外線を吸収して、DNAへのダメージを少なくします。
人間の皮膚の色はさまざまです。それは黒褐色のメラニン色素のためで、メラニンが多いほど肌の色は黒くなり、紫外線に対して抵抗性があります。白人では紫外線を浴びても赤くなるだけで、あまり褐色になりません。日本人は赤くなるとその後数日して褐色になります。
国際的なスキンタイプでは白人が該当するタイプⅠから黒人が該当するタイプⅥまで6段階に分けられています。日本人はこの基準ではタイプⅡからⅣくらいです。日本人でも色白で、日光にあたると赤くなりやすくて、黒くなりにくい人は紫外線対策が必要です。
紫外線は、時刻別にみると正午前後、正確には各地区で太陽が最も高くなるとき(南中時)に最も強くなります。紫外線の強い時間帯を避けて戸外生活を楽しむことを第一に考えてください。
気象庁では数値モデルで上空のオゾン量を予測し、それをもとにした日本全国の翌日の紫外線の強さをUVインデックスの形で公表しています。
また、有害紫外線モニタリングネットワーク(国立環境研究所)では全国の大学、研究機関で観測した紫外線データをもとにUVインデックスを算出しインターネット上で公開しています
(http://db.cger.nies.go.jp/gem/ja/uv/uv_index/index.html)
このような紫外線情報を上手に利用してください。
紫外線防御に適したい布地は、紫外線・可視光・赤外線を透過させず、光を反射させる白色か薄い色の布地で、汗を吸うポリエステルと綿の混紡の綾織がおすすめ。布地の色は、紫外線だけでなく可視光と赤外線も吸収せず、反射・乱射させやすい白色か薄い色です。
帽子や傘の色は、表は白色で、裏は色つきにして、顔への反射・散乱を和らげる工夫をするとベストです。
布の織り方は、大きく2種類に分けられます。綾織(あやおり)と平織(ひらおり)です。その特徴は、
「綾織」 とは?
縦糸と横糸が交互ではなく一度交差したあと一本飛ばしに編み込まれています。
縦・横の接点が少ないため平織りと比べて強度は落ちていますが、光の反射でナナメに大きな模様が現れ立体的に見えるため 全体的に平織りよりも人気があります。
伸縮性があり、しわがよりにくいメリットがありますが、平織に比べ耐久力が低く、摩擦に弱いというデメリットもあります。綾織の代表は、ジーパンに使われるデニムやサージです。紫外線を通しにくく、さらに紫外線を多方向に跳ね返します。
「平織」 とは?
縦糸と横糸が交互に編み込まれており、光の反射により市松模様の様な見た目になります。縦横の繊維がしっかり組み合わさっているので 【軽量かつ高強度】 という特性を生み出します。
平織は単純な織り方ですので通気性が高く、軽い生地になりますので、平織生地は通気性を生かした夏用のシャツやスーツなどに使われる生地です。
日傘は、もっとも簡単にできる紫外線防御法です。
しかし、知っておかなければならないことがあります。日傘では、紫外線の50%程度しかカットできないということです。
紫外線は波長が短いため、太陽から放たれた光が地球の大気を通過する間に、さまざまな分子やエーロゾルや雲などに反射・散乱しながら地上に届きます。そのため、太陽方向から直接届く紫外線は少なく、紫外線のほとんどは太陽方向以外からくる散乱された光です。さらに、地面などから反射される光もあり、紫外線の防御を考えるとき、その決め手となるのは散乱光防御なのです。
(紫外線の反射率/新雪:80%、砂浜:10 ~ 25%、コンクリート・アスファルト:10%、水面:10 ~ 20%、草地・芝生、土面:10%以下)
本来、日傘は直射光よけ(日射よけ)がメインで、日射は完全にカットできても、散乱光の紫外線は傘の下にも回り込むので50%程度しかカットできないのです。もちろん、日焼けを防ぐには最適といえます。
日傘の色は、衣服同様、反射・乱射させやすい白色か薄い色がおすすめです。ここでも注意ポイントが一つ。実は、黒色と白色の日射と紫外線のカット効率は、ほとんど同じです。色が黒いということは、目に見えるすべての光を吸収し、色が白いということは、可視光の全てを反射するということで、紫外線のカット効果はほとんど同じなのです。高温多湿の日本では、見た目が暑苦しい黒より、清潔感のある白が、夏の日にはおすすめなのです。
顔など衣類などで覆うことのできないところには、大人は勿論のこと、子供も上手に日焼け止めを使うのが効果的です。乳児の場合は、紫外線の強い時間帯には外へ出さない、また覆いをするなどの工夫をすれば、日焼け止めを使わなくてもいいでしょう。
サンスクリーン剤を使用する場合、SPFとPAの数値表示について気をつける必要があります。
SPFはSun Protection Factorの略で、紫外線UV-Bの防御効果を数値で表したものです。無処置の場合と比べて何倍の時間、UV-Bを防御できるかを表します。通常、日本人は20分、肌の弱い人は15分でUV-Bによる影響が出るといわれていますので、例えばSPF30は、15~20×30=450~600分まで防御効果が持続するということです。
いっぽう、PA(Protection grade of UVA)はUV-Aに対する効果を+から+++の3段階に評価したもので、効果の強さを表します。日焼けや皮膚ガンを引き起こす主な波長はUV-Bで、波長の長いUV-Aはこれまであまり悪さはしないと考えられてきました。しかし、UV-Aは量的に非常に多く降り注いでおり、UV-Bによる害を増長したり、また皮膚の深部まで達することで、やはり害作用を持つことがわかってきたのです。
サンスクリーン剤の紫外線遮断性能は、製品の2mgが皮膚の各々の1㎠に適用される時です。しかし、消費者が実際に使う量は1/2~1/3だったという報告もあります。つまり、使い方によって効果に大きな差が出ますし、期待していたほどの効果が得られなかったということもあり得ます。
例えば塗布するサンスクリーン剤の数値がSPF30の場合、外出して2時間以内に皮膚はピンクに変色し始めます。このような状態がこれまであなたに起こったことがあるならば、それは十分なサンスクリーン剤塗布をしなかった可能性が高いです。
日焼け止めはいつ、どのくらい、どのようにして塗ったらよいでしょうか?
日焼け止めは、戸外に出る前に塗りましょう。塗る量は、顔では手のひらに取る場合、一円玉を置いたくらいの面積が埋まるようにして、2回塗ります。手のひらに取った量を顔の数ヵ所に分けて置き、そこから伸ばしていきます。また腕や背中でも同様に数ヵ所において伸ばしてください。最初に何ヵ所かに分けて皮膚の上に置くことによって塗り忘れや塗りむらを避けることができます。また太陽光にさらされやすい所(鼻の頭 、 肩 、 背中の上部など)は念入りに塗ります。
日焼け止めはなぜ2、3時間おきに塗り直さなくてはいけないのでしょうか?
日焼け止めは皮膚の上にあってはじめて効果を発揮します。いったん塗った日焼け止め化粧品もそのあと手や衣類に触れることによって、あるいは汗をかいたりそれをタオルやハンカチで拭いたりすることによっても落ちてしまいます。落ちたと思ったときにすぐに重ね塗りするか、そうでなければ、2、3時間おきに塗り直し(重ね塗り)をすることをお奨めします。
紫外線は、太陽が頭上近くに位置するとき、つまり大気の厚さが薄くなる時に強さを増します。太陽に顔を向けている場合、顔があびる紫外線の量は正面、頭上、側面、後頭部と場所によって違います。
ところが太陽高度が50度を超えると、顔が浴びる紫外線の量は方向に関係なく同じになるのです。太陽高度45度で、自分の影の長さと身長は同じになります。ですから、自分の影の長さが身長よりも短くなったら日陰に入るようにしましょう。
参考資料/少年写真新聞社発行「知って防ごう有害紫外線」
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