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6歳までは、外で遊ぶ時間を大切にする!
2016年2月21日、中国新聞社によると、「2050年には世界の約半数が近視になる」と予測する報告書を豪ブライアン・ホールデン・ビジョン・インスティテュートの研究者が発表しました
近年、近視人口が世界的に増加していますが、報告書では、50年には近視総人口は47億5800万人となり、世界総人口の49.8%を占めると予測しています。
現在、世界総人口73億のうち近視者は約20億人。1970年代から2000年代初頭までの間に米国やアジア地域の一部で近視率が倍増し、近年はさらに状況が悪化。専門家は、近視人口の増加は生活習慣の変化によると指摘しています。戸外で遊ぶ機会が減るいっぽう、モニターを見る時間は増えていることが要因と考えられているのです。
やはり、近視は、遺伝もありますが、環境に強く影響されます。
子どもの目が成長するとき、瞳孔と網膜の距離がレンズの焦点を合わせる能力に合っていないと、網膜上にはっきりと像を結ぶことができません。そのため、近視または遠視になってしまいます。動物実験から、視覚的経験によって、この距離が調節されることがわかっているのです。
外で過ごす時間が長い子どもほど、近視になりにくいようです。
オーストラリアのシドニーとシンガポールに住む中華系の6歳と7歳の子どもたちを比較したところ、親の近視の割合はほぼ同じ(少なくとも父親か母親の約70%が近視)だったにもかかわらず、子どもの近視の割合はシンガポール(29.1%)のほうがシドニー(3.3%)よりも8倍以上多いことがわかりました。
シドニーの子どもたちは1週間に平均14時間外で過ごしていましたが、シンガポールの子どもたちは1週間に平均3時間しか過ごしていませんでした。
外で何をするかは関係がなさそうです。
屋外にいる時間が1日2時間の子どもは、近視になる確率が1日に1時間未満の子どもの4分の1であることがわかっています。
屋内でスポーツをしても、視力の発達には影響しません。両親が近視ではない子どもよりも、両親とも近視の子どものほうが、屋外で活動すると近視になりにくくなります。このことから、近視に関連する遺伝子は、環境の影響に対する感度ともかかわっていると考えられています。
興味深いことに、屋外での時間は、11歳から12歳の子どもと比較して、6歳の子どもにはより強い効果を示しています。
人の見る力の発達は、6~10歳くらいでほぼ終わるといわれています。それだけに、3歳から6歳ころは視力の発達にとって、一生に関わる大切な時期なのです。この時期の屋外の時間を含む環境への影響が、より大きくなる可能性が高いのです。
いくつかの研究報告では 、子供が1週間に屋外で過ごす1時間ごとに、近視のリスクは約2%低下したとしています。子どもを近視に成せないためにも、できるだけ屋外で遊ばせる時間を多くとりましょう。
台湾は、20歳以下のおよそ8割が近視です。
その近視解消の対策として進めているのが、すべての小学校を対象に、屋外にいる時間を増やすというということ。
対策の元となったのが、子どもおよそ700人を対象にした研究です。
明るさ1,000ルクス以上の光を週11時間以上浴びた子どもは、近視になりにくいことが分かっています。1,000ルクスは、屋外でなければなかなか達成できない。一般的に屋内では300ルクス程度、窓際でも800ルクス程度。屋外では日陰でも数千ルクスに達するのです。
そこで、台湾では法律を改正し、体育の授業を週150分、屋外で行うことを義務づけ、そのほかの授業なども屋外での実施を推奨しています。1日2時間、1,000ルクスの光を浴びることを目標に掲げたのです。
屋外活動が子どもの近視進行をおさえることは、世界のさまざまな研究チームにより報告されてきました。ところが、屋外活動の何が近視進行抑制に効いているのかは分かりませんでした。
そんな中、2016年12月、慶應義塾大学医学部の研究チームが、太陽光に含まれる「バイオレットライト」が近視の進行をおさえる可能性があることを、世界で初めて発表したのです。
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